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2025-05-21 福福通信

【2025年5月21日 水曜日】 「青き剣、九条の初刃」  ─ 香りの極みに挑む餃子仕込み

おはようございますえ、点乃どす。 きょうの伏見は、朝から少し湿り気のある風が吹いとりまして、うす曇りのお空には夏の匂いがほんのり混じっておりました。
二十四節気では「小満(しょうまん)」、草木も虫たちもいよいよ元気になってきて、町の景色にも活気が戻ってまいりました。
そんな中、今朝はちょっと特別なお野菜と向き合う時間となりましたえ。
ほんまに、ようけ立派に育った九条ネギの初物どす。しかも、このネギは普通の収穫とはちょっとちゃいますんや。ふつうやったら、根っこを土に残して、そこからまた生やして何度も使う九条ネギ。でも今日のんは、根っこごとしっかり引っこ抜いて収穫した一番最初の「初物」なんどす。 切り口の瑞々しさ、ぴんと立った葉の張り、手に持ったときの香り……
そのすべてが、まるで野の力を一身にまとったよう。まさに「命の味」がする、そんな九条ネギどした。 この初物の九条ネギをふんだんに使いまして、本日は餃子をこさえました。
なんと、1200個。お一つずつ丁寧に、愛情込めて包みましたえ。 餡には国産の豚肉と、繊細に刻んだ九条ネギ。お口に入れた瞬間、豚の旨味に負けないネギの甘みと香りがふわっと広がって、ほんに幸せな気持ちになりますえ。
焼き立てはもちろん、冷めてもなお味の輪郭が崩れない、そんな仕上がりにいたしました。 作りながらふと思いましたんやけど、
この「初物」という言葉、なんや不思議な響きですなぁ。単に季節の一番乗りいう意味やのうて、どこか神聖で、特別で、大切に扱わなあかんものやと、昔から教えられてきました。 「
初物を食べたら七十五日長生きする」なんて、江戸の頃からの言い伝えもあるくらいどす。 そやから、点心づくりも一緒やと思います。初物を使う日、そこに込める気持ちは特別でありたい。
毎日包む点心でも、そのひとつひとつに心を込めて、誰かのお腹だけやのうて、気持ちまで満たせたらええなぁと思います。
あっという間に五月も後半。伏見の疏水沿いには、薔薇がまだ咲いていて、雨上がりにしっとりと濡れた花びらがほんに美しゅうございましたえ。自然のめぐりと共に、わたしたちの仕事も日々続いていきます。
ほなまた、明日もよろしゅうおたのもうしますえ。
点乃拝

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