初夏の香りと塩焼売。五百個の仕込みに込めた「おいしさの舞」と季節の便り

【福福通信】
初夏の香りと塩焼売。五百個の仕込みに込めた「おいしさの舞」と季節の便り
投稿日:2026年5月21日(小満) | 著者:しゅうまい奉行

皆さま、お健やかにお過ごしでしょうか。
暦の上では「小満(しょうまん)」。万物が満ち溢れ、草木が青々と輝く佳き季節となりました。
ここ、京都・伏見の点心場でも、窓の外を眺めれば田んぼの苗が風に揺れ、初夏の香りがふわりと漂っております。そんな折、窓辺にひょっこりと現れたのは、小さな赤いお客さん――「てんとう虫」さんどした。
「まぁ、なんと愛らしい…春のお便りみたいやわぁ」
古来、農家さんの守り神とも言われるてんとう虫さん。この小さな命との出会いに、何か温かなお導きを感じずにはいられまへん。
シンプルだからこそ、誤魔化しのきかない「塩味」
本日お仕込みしたのは、看板の「塩焼売」五百個。
「塩味」というのは、実は一番難しいものでござります。ほんの少しの加減で、素材の旨みが引き立つこともあれば、台無しになることもある。毎回、お稽古の時のように気を張り、一点の曇りもないよう集中して餡を練り上げます。
- 薄皮へのこだわり: 餡の存在感を邪魔せず、けれどもしっかりと包み込む極限 of 薄さ。
- もっちり感: 噛んだ瞬間に弾けるような肉感と、溢れ出す肉汁のハーモニー。
蒸籠(せいろ)から立ちのぼる白い湯気が、しずしずと空へ舞う姿は、まさに私たちが目指す「おいしさの舞」そのものどす。
「まごころ」という隠し味
今の時代、華やかな見た目や新しい味付けはたくさんございます。けれど、私たちが大切にしたいのは、ひとつひとつに込める「まごころ」という目に見えない味。
キラキラした飾りはなくても、一口食べれば「ああ、美味しいな」と、どこか懐かしく、胸がほこっと温まる。そんな味を目指して、今日もしっかりと根を張って、一粒ずつ丁寧にこしらえております。
食卓へ届ける「おいしい笑顔」
今ごろ、私たちが送り出した焼売さんが、どこかのお家で温められているのでしょうか。誰かの大切なごはんのお供になって、食卓に笑顔を運んでいる――そう思うと、五百個の仕込みの疲れも、春風のように消えていきますえ。
「明日もまた、ひとつひとつ、丁寧に。」
点乃も、皆さまのお口に「おいしい笑顔」をお届けできるよう、この季節の風のように穏やかに、けれど情熱を込めて舞い続けとうございます。
PDFを開く
一覧へ戻る

