【上津屋橋・職人のこだわり】初夏の流れ橋で再確認した「点心道」と続ける尊さ

【福福通信:初夏の便り】
流れ橋に学ぶ「続ける尊さ」|京都八幡の薫風と点心への想い
投稿日:2025年5月15日 | 著者:点乃
おおきに、おこしやす。
皐月も半ばを過ぎ、琵琶湖疏水の流れにも初夏の光が踊るようになってまいりました。
点心処「福」の仕込み場にも、日差しがまぶしく、扉を開け放てば青葉の香りがふわり。今日は少しだけお仕事の手を休めて、八幡の「流れ橋」まで足を伸ばしてまいりました。
自然と喧嘩せず、身を引く知恵
名は「上津屋橋(こうづやばし)」。木津川にかかる長い長い木の橋で、増水すると橋板が流されるようにできてるんどすえ。壊れたんやのうて、流される。自然と喧嘩せんよう、橋が自分から身を引く……そんなはかない知恵が詰まった橋なんどす。
時代劇の撮影にもよう使われるこの橋の上に立つと、まるで映画の中の景色みたいで。遠くでヒバリが鳴いて、川の風が着物の袖をくすぐってくる。ほんに、夢のような時間どした。
「あきらめへんこと」が、ええ味につながる
何度も流されては、また元通りになる橋。なんや、人の心に似てるようにも思えました。大きな流れにのまれたり、つらい出来事にくじけそうになったりしても、また立ち直る強さ。
点心作りもそうどす。
試作を重ねて、失敗して、また工夫して。あきらめへんことが、ええ味につながるんやなぁと、橋の上で思い返しました。
雨の香に 咲いては濡れる 薔薇の色
映す三刻 滴に込めて
橋のたもとに咲く薔薇を見ながら、三刻(約六時間)にわたる撮影を思い出して詠みました。お天気はぐずつき気味やったけれど、そのぶん風景も色濃うて、良い映像が撮れたと思います。
毎日を積み重ねて、深うなっていく
心に染みるのは、やっぱり「続けること」の尊さどすな。点心作りも、お客様に届ける想いも、毎日が同じようで、同じやあらへん。ほんの少しずつ、積み重ねて、深うなっていく。
これからも、八幡の風と橋の記憶を、点心の中に忍ばせながら、ひとつひとつ心を込めて仕込んでまいりますえ。
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