ふたつの「すすき」の漢字と秋の食卓。京都点心福の季節の豆知識

季節の豆知識|点乃だより
🌾 秋風に揺れる
ふたつの「すすき」の物語
秋の野を美しく彩る「すすき」。
普段の生活ではひらがなやカタカナで書くことが多いので、わざわざ漢字で書こうと思うことはあまりおへんかもしれまへんね。
けれど、本を読んだり季節のお便りを眺めたりしたとき、「芒」や「薄」といった漢字を目にすることがおす。実はこれ、どちらも「すすき」と読む正しい漢字なんどすえ。思い描く景色によって使い分けられている、日本語の奥深いお話を少しだけ。
光る穂先を近くで愛でる「芒」
「芒」という漢字は、元々は稲や麦の先端にある針のような突起を表す言葉どす。そこから転じて、風に揺れて光を反射する美しい「穂先」に焦点を当てたい時によく使われます。
たとえば、お月見のお供えとして花瓶に生けられた一本のすすき。そんな飾りとしての美しさを近くで楽しむ時は「芒」の字がぴったりどすえ。
▼ 「芒」の情景を描いたお知らせ
群生する秋の風景を描く「薄」
一方の「薄」は、草木が密生している場所を表す言葉から来ています。川辺や野原に群生して風になびいているような情景(引きの風景)を描く時に適しています。
目の前に広がる広大な秋の景色や、風にざわめく草むらの音を感じさせたい時。私たちが「秋の風景」として思い浮かべる広い景色には、こちらの「薄」がよう似合います。
▼ 「薄」の情景を描いたお知らせ
情景の「寄り」と「引き」で漢字を使い分ける。日本語って、ほんまに風流で奥深おすね。
うちのしゅうまい奉行も、「近くで愛でる芒も、遠くに揺れる薄も、どちらも旨い点心がよう似合う」と、食欲の秋を楽しんでおられますえ。
皆様も、ふたつの「すすき」の景色を思い浮かべながら、秋の食卓をゆっくりとお楽しみおくれやす。
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