京都のシュウマイとは何か|鳳舞の系譜と現代の京焼売【京都点心福】

京都のシュウマイとは何か
― 鳳舞の系譜から、いまの暮らしへと続く京焼売 ―
京都の町で、なぜシュウマイが親しまれてきたのでしょう
京都のお食事と聞くと、懐石や京料理を思い浮かべはる方も多い思います。 けど実は、京都の人がふだんの外ごはんに選んできはった料理のひとつが、中華料理なんどす。
なかでもシュウマイは、 特別な日に食べるごちそうやのうて、 毎日の食卓にそっと寄り添う存在でした。
にんにくはひかえめ、油もひかえめ。 食べ終わったあとも、からだに重さを残しません。 気がついたら、もう一つお箸が伸びてしまう―― そんな味わいどす。
派手さはありませんけど、 静かに、おいしい。 それが京都の町に合うシュウマイやったんやと思います。
鳳舞系がつくった、京都中華のかたち
京都の中華を語るうえで、 よう知られているお店があります。 紫明通にあった、広東料理のお店「鳳舞」どす。
鳳舞さんが大切にしてはったのは、 京都の町や暮らしに合う中華料理でした。
花街やお座敷では、 強い香りや油っこさは好まれません。 せやから、にんにくや香辛料はひかえめに、 素材の味をやさしく整える―― そんな工夫が重ねられてきたんどす。
鶏ガラに昆布を合わせたスープ、 後味を大切にした味つけ。 その考え方を、いちばんわかりやすく表していた料理のひとつが、 シュウマイやったんやと思います。
その考え方は、いまも続いています
鳳舞さんは、もうお店を閉じはりました。 せやけど、その味の考え方までなくなったわけやありません。
お弟子さんから、またその次へ。 お店から、家庭の台所へ。 京都の中華の心は、形を変えながら今も受け継がれています。
時代が変わって、暮らし方も変わりました。 外で食べるだけやのうて、 おうちで、気軽に、安心して食べられる料理が求められるようになりました。
そんな今の暮らしの中で、 シュウマイはまた、 「ふだんの一品」として選ばれるようになってきています。
守ってきたこと、変えてきたこと
守ってきたこと
- 素材の味を大切にする、やさしい調味
- 香りを立てすぎない工夫
- ひとつで満足できる、ほどよい食べごたえ
変えてきたこと
- おうちでも用意しやすい作り
- 冷凍しても食感を損ねにくい包み
- 毎日の暮らしに合う使いやすさ
京都のシュウマイを選ぶ、ということ
京都のシュウマイは、 「特別な日のため」やなくて、 何でもない日の食卓のためのもの。
旅先で出会うて、 おみやげにして、 やがては冷凍庫にそっと置いておく―― そんな距離感が、ちょうどええんどす。
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