小雪の候、京の湯気がやさしく立つ頃|点乃の京点心だより

小雪の候、京の湯気がやさしく立つ頃 ――点乃の京点心だより――
十一月も終わり近くなりますと、京の朝夕はひときわ冷え込んでまいります。 令和七年十一月二十六日は、ちょうど二十四節気の「小雪(しょうせつ)」。
まだ本格的な雪は早いのどすけど、空の色がすっと冬めいて、 山の端が薄う白み、北風が頬をそっとなでていきます。
■ ふわりと立つ湯気に、冬の入口を感じます
寒うなるほど、蒸籠から上がる湯気がありがたう感じます。 工房で蒸し上がったばかりの肉汁焼売は、 白い湯気に包まれて、まるで冬の明かりみたいに見えることがあります。
寒さでぎゅっと縮こまりそうな心も、 湯気のあたたかさでふっとほどけるようなどす。
■ 京の初冬は、香りがよう映えます
この小雪の頃になりますと、 柚子が色づいてよい香りを放ち、千枚漬の仕込みが始まり、 お台所には冬の支度のにおいが広がります。
肉汁焼売のやさしい甘みと玉ねぎの香りは、 こうした京の初冬の気配とよう合うもんどす。 ほかほかの湯気と合わせますと、いっそう豊かな味わいになります。
■ 乾いた風に負けへんよう、からだを養う季節
小雪を過ぎますと、空気の乾燥が強うなり、風邪も引きやすうなります。 そんな時こそ、蒸し料理は頼もしい味方どす。 油っぽうならず、しっかりあたたまるもんどすさかい。
肉汁焼売は、蒸しても、袋のまま電子レンジでも美味しゅう仕上がります。 忙しい日でも、ほっと息つける一皿どす。
■ 点乃の“初冬のおすすめ膳”
- 主菜:肉汁焼売の蒸し立て ― 湯気の甘みが際立ちます。
- 副菜:千枚漬と九条ねぎの浅和え ― 京の冬の香りどす。
- 汁物:かぶと白味噌のあったかい汁 ― 体の芯がほぐれます。
- ご飯もの:生姜の混ぜご飯 ― 冬の冷えにやさしい一品。
白い湯気がゆらっと立ちのぼり、 食卓にやすらぎの光が差します。 小雪の頃らしい静かなあたたかさどす。
■ 点乃より、さいごにひとこと
「小雪は、冬が静かに歩いてくる季節。 冷たさの中にも、湯気のぬくもりがよう映える頃どす。 どうぞあったかくして、お過ごしくださいね。」
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