冬みかんで仕込む陳皮の作り方と効能|鬼辛焼売の香りをそっと支える京の知恵【京都点心福】

冬みかんで仕込む陳皮の作り方と効能──鬼辛焼売の香りをそっと支える京の知恵
冬の空気がきゅっと澄んで、みかんの香りがよう立つ季節になってきましたなぁ。 こんな時節には、みかんをようけ食べて、その皮を「陳皮(ちんぴ)」として仕込んでおくのが、昔からの京の知恵どす。
陳皮は、京都点心福の「鬼辛焼売」にも使われている、大切な香りの隠し味。 今日は点乃から、やさしく丁寧にご案内させてもらいますえ。
■ 陳皮とは ― 時間が育てる、みかんのやさしい香り
陳皮は、みかんの皮を乾かし、ゆっくり熟成させて作る香りの素材どす。 気の巡りを整えたり、気分をほっと落ち着けてくれるといわれ、薬膳でもよう使われてきました。
■ 陳皮の作り方(点乃のやさしい手順)
1. 白い面を上に向けて干す
内側の白いワタは水分が多く、いちばんカビやすいところどす。 お日さんによう当てて乾かすために、白い面を上にして干してくださいね。
2. 少し「そらせて」広げるように干す
みかんの丸い形のまま干すと、くるんと丸まって重なりができ、乾きムラの原因になります。 ほんの少し反らせて広げるようにすると、風が通りやすく、きれいに乾きますえ。
3. 皮どうしを重ねない
皮がふれ合っている部分は湿気がこもりやすいので、ザルやネットに間をあけて並べてください。 これだけで仕上がりが全然違いますの。
4. 夜露は避ける
夕暮れどきには室内へ。 夜の湿り気は乾燥のじゃまになってしまいます。 朝になったらまたお外へ。 この繰り返しで、香りがきれいに育ちます。
5. じっくり時間をかけて育てる
乾かしたては、まだ香りが若いもんどす。 3か月ほどで丸みが出てきて、1年の熟成でぐんと深みが増します。 陳皮は「時間の恵み」をいただく素材なんどす。
■ 鬼辛焼売の“香りの軸”になっている陳皮
京都点心福の「鬼辛焼売」には、この陳皮がひそやかに使われています。 辛味のあとにふわっと香る柑橘の風味が、味の奥行きをつくってくれるんどす。
ただ辛いだけやなくて、「また食べとうなる」余韻をつくる。 それが陳皮さんのお仕事なんどすえ。
■ 冬のみかんは“二度うれしい”
みかんは果肉も甘うておいしいのに、皮まで使えてしまう。 しかも、市販の陳皮を買うよりずっとお安く作れるんどす。 冬のうちに仕込んでおくと、春から夏、秋までずっと使えて便利どすえ。
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