南天茶とエビネギ饅頭で、冬をやさしく包む【点乃の季節便り】

南天茶とエビネギ饅頭で、冬をやさしく包む
冬の庭の片すみに、赤い実をつけた南天が静かに揺れています。
「難を転じて福となす」――その言葉どおり、南天は昔から厄除けの木として大切にされてきました。
今日は、そんな南天を煎じたお茶と、京都点心福のエビネギ饅頭を合わせたお話をお届けします。
南天茶 ― 冬の喉をやさしく包む一杯
陰干しした南天の実をゆっくり煮出すと、やわらかな香りとほろ苦さが立ちのぼります。
蜂蜜を少し加えれば、喉をすっと癒やすあたたかい味わいに。
寒い夜に手をあてながら飲む南天茶は、まるで小さな灯りのようです。
エビネギ饅頭 ― 京の香りをひとくちに
南天茶のやさしい苦味に寄り添うのが、海老の甘みと九条ねぎの香ばしさが重なるエビネギ饅頭。
もちもちの皮のなかに、ぷりっとした海老が隠れていて、食べた瞬間に「ふわっ」と湯気が香ります。
ほっと息をつくような、冬の点心どす。
南天の朱に、福の湯気を重ねて
南天の赤は、冬の白い景色に映えてまことに美しゅうございます。
その色を見ながらエビネギ饅頭をいただけば、寒さもやわらぎ、心までぽかぽかと温まります。
「難を転じて福となす」――お茶と点心にこめられた小さな願いが、きっと届きますえ。
「南天の実 湯気にまじわる 冬の香」
© 2025 京都点心福 / 舞妓 点乃
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