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2025-10-24 福福通信

原料に勝る技術なし――伏見の秋を歩きながら|京都点心福

原料に勝る技術なし――伏見の秋を歩きながら|京都点心福(点乃) 原料に勝る技術なし――伏見の秋を歩きながら|京都点心福(点乃)

原料に勝る技術なし――伏見の秋を歩きながら

きのうから急に空気が冷たくなりました。朝の川面に白い息が漂うのを眺めながら、素材を大切にする気持ちを、そっと確かめました。

記:2025年10月22日 / 文責:点乃

伏見・濠川の秋。静かな水面と酒蔵の景色に、ひんやりとした朝の空気が流れる

秋の空気に背筋が伸びる朝

ひと晩で季節が進んだようでした。手袋を出すほどではありませんが、息を吸うと胸の奥がきりっとします。こういう朝は、湯気の立つものが恋しくなります。

「原料に勝る技術なし」という灯り

蔵の前で見かけた言葉に、歩みが静かになりました。どれほど上手に作ろうとしても、素材そのものの力を越えることはできません。だからまず、よい素材に出会えるように、そしてその良さを損なわないように、そっと手を添えるのだと思います。

足すより、邪魔をしないこと。
素材が自分の輪郭で立てるように、支えること。

点心でたとえると

焼売なら、国産豚の甘みや香味野菜の香りが、皮のやわらかさと調和してくれるように、挽き方や塩加減、練りの温度や時間を整えます。やり過ぎないほど、輪郭がはっきりして、味が落ち着きます。

冷たい朝と、湯気のしあわせ

冷え込む日は、湯気そのものがごちそうです。蒸したての香りは、からだの深いところまで届きます。器や盛りつけを少しだけ冬の色に寄せると、心も静かになります。

季節はこれから冬へ。あわてず、素材を大切に、やわらかく。点心づくりの手元も、そんなふうでありたいと思いました。

© 京都点心福 / Kyoto Tenshin Fuku

技術なし」に学び、素材を敬い、そっと活かす点心づくりの心を、点乃がやわらかく綴ります。" />

原料に勝る技術なし――伏見の秋を歩きながら

きのうから急に空気が冷たくなりました。朝の川面に白い息が漂うのを眺めながら、素材を大切にする気持ちを、そっと確かめました。

記:2025年10月22日 / 文責:点乃

伏見・濠川の秋。静かな水面と酒蔵の景色に、ひんやりとした朝の空気が流れる

秋の空気に背筋が伸びる朝

ひと晩で季節が進んだようでした。手袋を出すほどではありませんが、息を吸うと胸の奥がきりっとします。こういう朝は、湯気の立つものが恋しくなります。

「原料に勝る技術なし」という灯り

蔵の前で見かけた言葉に、歩みが静かになりました。どれほど上手に作ろうとしても、素材そのものの力を越えることはできません。だからまず、よい素材に出会えるように、そしてその良さを損なわないように、そっと手を添えるのだと思います。

足すより、邪魔をしないこと。
素材が自分の輪郭で立てるように、支えること。

点心でたとえると

焼売なら、国産豚の甘みや香味野菜の香りが、皮のやわらかさと調和してくれるように、挽き方や塩加減、練りの温度や時間を整えます。やり過ぎないほど、輪郭がはっきりして、味が落ち着きます。

冷たい朝と、湯気のしあわせ

冷え込む日は、湯気そのものがごちそうです。蒸したての香りは、からだの深いところまで届きます。器や盛りつけを少しだけ冬の色に寄せると、心も静かになります。

季節はこれから冬へ。あわてず、素材を大切に、やわらかく。点心づくりの手元も、そんなふうでありたいと思いました。

© 京都点心福 / Kyoto Tenshin Fuku

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