今朝の伏見は、澄んだ空気が心地よく、濠川の水面にやわらかな光が揺れていました。川沿いを歩いておりますと、黒い翅がふわり――羽黒蜻蛉(ハグロトンボ)でございます。静かな羽ばたきが、秋の流れとひとつに溶けて見えました。
羽黒蜻蛉 ― 静けさに寄り添う黒い翅
羽黒蜻蛉は清らかな水辺を好み、地域によっては「仏トンボ」「精霊トンボ」とも呼ばれます。お盆の頃に姿を見ることも多く、季節の移ろいに寄り添うような存在です。濠川では、薄紅葉の影とともにゆっくりと舞い、水面に描く軌跡は、墨絵のように穏やかでした。
秋の仕込みと、ゆるやかな呼吸
工房では、焼売や餃子を一つずつ手で包みます。焦らず、音を立てず、湯気の立ちのぼる気配を大切に。羽黒蜻蛉の舞のように、呼吸を整えながら進む仕込みは、味のまとまりを生みます。京都点心福の点心づくりには、そんな静かな時間が息づいています。
黒羽舞う 川面に映えて 月細し
風も言の葉も 静まりかえる夜
(伏見・濠川にて 点乃)
伏見から、季節の湯気をお届けします
水の恵みが育む伏見から、わたしたちの点心を全国の食卓へ。ご自宅用にも贈り物にも、温かな湯気とともに季節を感じていただけましたら嬉しゅうございます。



