【点乃のことば】いけず石と点心のこと


いけず石と点心のこと。
こんにちは。舞妓の点乃(てんの)どす。
京都の町を歩いておりますと、ときどき見かける石ころさん。
道の端っこにちょこんと座ってはる、あの子のことを「いけず石」って呼びますんえ。
ぶつかってほしくないお家の角に、そっと控えめに「そこはやめとこな」と伝える石さん。
お口には出さはりませんけど、気持ちはよう伝わってくるんどす。
うちのお店の点心も、ちょっと似てますのえ。
見た目は小さゅうて、控えめやけど、
湯気の中には、びっくりするくらいおいしさが詰まっておりますの。
控えめにして、奥ゆかしく。
焼売さんは、ぎゅっと包まれた中から、じゅわっと肉汁。
餃子さんは、香ばしい皮の中に九条ねぎやら白味噌やら…。
春巻きさんは、パリッと衣をかじったら、やさしい玉子の香り。
まるで「いけず石」みたいに、
そっと隠れて、でもちゃんと自分の役割を果たすんどすなぁ。
見た目に頼らず、奥に味を隠す。
それが京都のええとこ、なんえ。
──舞妓 点乃
お好きな点心、見ていかはりますか?
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